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工藤公康『47番の投球論』

  • 2009-05-06 (水) 16:45
  • 読書
47番の投球論 (ベスト新書)

発売元: ベストセラーズ
価格: ¥ 735
発売日: 2009/03/14

 出てすぐに読んだ本であるが、そのままにしてあったので、少し書いておく。

・自問自答
 私も常々力説している「自問自答」(自感自答)について語られている(pp36-37)。武道においても、「それを延々繰り返すしかありません」。

・見え方
 ピッチャーとキャッチャーとでは、「バッターの見え方」が異なる(p51)ということを、初めて知った。言われてみれば当たり前かもしれないが、両者で見ているものが違うということを、私は今まで考えたことがなかった。なるほど、そういうことなのですね。

・ボールの投げ方
 武道的に最も興味深かった。武道的な観点から、ピッチャーが「腕を強く振る」というのは絶対ウソだと考えていたが、それを優れた投手がきちんと語ってくれている。
 
 誤解されている人も少なくないと思いますが、ボールは腕を振って投げるのではありません。(略)(p53)

 この後、ボールの投げ方が詳しくイラスト入りで解説されている。解説自体は「体の回転」に力点が置かれているが、私としては、さらりと出てきた「しっかり胸も張らず」という一言が印象に残った。ここに秘密があるのである。だが「体の回転」と胸の張りの関係については詳しく説明されていない。おそらくわざとだと思う。

・最高の出来
 工藤選手は99年が生涯最高の出来だったという。

 とにかく、バッターがよく見えていました。打席に立っているバッターをひと目確認するや、こういうふうに投げたら外角低め、あるいは内角高め、とフォームの微妙な感覚だけで投げ分けることができたのです。(p95)

 投げる時の意識が、キャッチャーミットやコースではなく、自分のフォーム(体の動き)に向いている。さすがである。「自問自答」を繰り返していたからに違いない。私もそのくらい空手の形を練りたいものだ。
 しかも、驚くべきは、

 だいたい、あのときの僕はネクストバッターズサークルに控えるバッターまで見えていました。(p96)

 すごいですね。

・意味を求める
 工藤選手は、全てにおいて意味を求めている。キャッチャーが出すサインもそうだし、自分が打たれたことについてもそうだ。

 結果的にヒットにはなりましたが、あれの意味するものは「ワンスリーのカウントからでも立浪は積極的に打ってくるから気をつけろよ」というメッセージであり、僕の次に投げるピッチャーに残すことができたのです。(p114)

 キャッチャーを育てるために、打たれるのが分かっていてサイン通りに投げたという話は有名であるが、見ているもののスケールが大きいですね。

・師匠からの学び
 本書には、師匠東尾氏とのことも書かれている。

 僕の師匠であり、今でも尊敬する大先輩です。
 しかし、その師匠から直接何かを教わったことはありません。ただ、間近でいろいろと感じとらせてはいただきました。(略)
 これからの自分の“手本”となるべき人に身近で接しながら、学び取とうろとしました。たとえば、
 「今はいいかもしれないが、これからはストレートとカーブだけじゃあ抑えられんぞ」
 こんなひと言をくれました。
 では、どうすればいいのか? それについては話してくれませんでしたが、このひと言をヒントに、「では何をすべきか」と考えていくことができたと思っています。(p118)

 これは後で述べる「考える」ことの重要性と繋がっている。

・準備力
 何か事にあたるにおいて最も大切なのは準備だと思います。
 プロならばあらかじめ“仕事”のための準備をしておくことは必要最低限のマナーであり、(p128)

 この後、試合前の「ルーティーン」について語られる。工藤選手も、やはりきちんとしたルーティーンをもっているのである。

・考えること
  考えることで成長する(p133)
 自覚がなければただ去るのみ(p139)

 素晴らしい体に恵まれ、特に筋肉、骨格などは同じプロ選手として羨むばかりのものをもち、投げればすごいボールを放る。それでも長続きせずに去っていく選手は少なくありません。
 つまり、「考える」ことをしなかったからだと思います。(p140)

 答えは聞いてはいけないんです。答えは自分で見つけるものなのです。(p175)

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